薬剤師から治験業界への転職を検討している方に向けて、CRC(治験コーディネーター)とCRA(臨床開発モニター)の仕事内容・年収・メリット・デメリットから、転職成功のための具体的なステップまでを網羅的に解説します。
【結論】薬剤師の治験業界への転職は「やりがい」と「キャリアの幅」で選ぶ価値がある
薬剤師が治験業界(CRC・CRA)へ転職する場合、初年度の年収は下がる可能性が高いものの、新薬開発に携われるやりがい、土日休みのワークライフバランス、そして将来的なキャリアパスの広がりという大きなメリットがあります。調剤薬局や病院での業務にマンネリを感じている方、薬の知識をより上流工程で活かしたい方にとって、治験業界は有力な選択肢です。
治験業界への転職で押さえるべきポイント
CRC(治験コーディネーター):SMO企業に所属し、医療機関で被験者対応やプロトコル管理を担当。患者さんと直接関わりたい方向け。未経験初年度の平均年収は約407万円。
CRA(臨床開発モニター):CROまたは製薬会社に所属し、治験のモニタリング業務を担当。年収アップやキャリアの幅を重視する方向け。平均年収は約481万円で、経験5年以上で600万〜1,000万円も可能。
治験業界の基本構造|CRC・CRA・SMO・CROの関係を理解しよう
薬剤師が治験業界への転職を考える際、まず理解しておきたいのが業界の基本構造です。治験とは、新薬の有効性と安全性を確認するために行われる臨床試験のことで、製薬会社・医療機関・CRO・SMOといった複数の組織が連携して進めます。
製薬会社が新薬開発のために計画する治験は、GCP(Good Clinical Practice=医薬品の臨床試験の実施の基準)に基づいて厳格に管理されます。この治験を支える主な職種がCRC(治験コーディネーター)とCRA(臨床開発モニター)であり、それぞれ異なる立場から新薬開発に関わります。
CRCはSMO(Site Management Organization=治験施設支援機関)に雇用され、医療機関に派遣されて被験者対応やプロトコル(治験実施計画書)管理、症例報告書の作成補助などを行います。つまり「医療機関側」の立場で治験をサポートする存在です。代表的なSMO大手4社として、株式会社EPLink(旧EP綜合)、シミックヘルスケア・インスティテュート株式会社、株式会社アイロム、ノイエス株式会社があり、この4社で治験受託の約8割以上を占めています。一部の大学病院や基幹病院では、SMOを介さず直接雇用する「院内CRC」というポジションも存在します。
一方、CRAはCRO(Contract Research Organization=医薬品開発業務受託機関)または製薬会社に所属し、医療機関を訪問してモニタリング業務を行います。GCPの遵守確認、データの検証、施設監査などが主な役割で、「製薬会社側」の立場から治験を管理する存在です。CROの代表的な企業としては、IQVIAサービシーズジャパン、シミックグループ、イーピーエス、パレクセル・インターナショナルなどが挙げられます。
このように、CRCとCRAは「医療機関側」と「製薬会社側」という対照的な立場で新薬開発を支えています。薬剤師としての薬の知識は両方の職種で活かせますが、働き方や年収、キャリアパスには大きな違いがあるため、自分の志向に合った職種を選ぶことが転職成功のカギとなります。なお、企業薬剤師全般のキャリアについて詳しく知りたい方は企業薬剤師への転職ガイド|職種一覧・年収相場・未経験からの成功法を徹底解説もあわせてご覧ください。
CRC(治験コーディネーター)の仕事内容・年収・1日の流れ
CRCの仕事内容
CRC(治験コーディネーター)は、治験がスムーズに進行するよう医療機関内で幅広いサポートを行う職種です。具体的な業務は「治験準備」「治験実施中」「治験終了後」の3つのフェーズに分かれます。
治験準備段階では、プロトコル(治験実施計画書)の読み込みと理解、製薬会社が主催する勉強会への参加、治験薬や検査キットの受領・管理、被験者候補のスクリーニングなどを行います。治験実施中は、被験者へのインフォームド・コンセント(治験の説明と同意取得)への同席、来院スケジュールの管理、服薬状況や副作用の確認、残薬の回収、症例報告書(CRF)の作成補助が主な業務です。有害事象が発生した場合は、その経緯をまとめて製薬会社と医療機関に報告する重要な役割も担います。治験終了後は、治験終了報告書の作成支援や監査対応などを行い、適切な終了手続きを完了させます。
CRCの年収データ
CRCの年収は、薬剤師からの転職を考える際に最も気になるポイントでしょう。CRCJOBの2025年度の転職支援実績によると、CRCへ未経験から転職した初年度の平均年収は約407万円です。過去3年間の推移を見ると、2023年度が約395万円、2024年度が約408万円、2025年度が約407万円とほぼ横ばいで推移しています。
一方、薬剤師の平均年収は厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると全体平均で約599万円(男性651万円、女性556万円)です。CRCJOBの調査では、薬剤師がCRCへ未経験転職した場合、20代で約50万円、30代では約130万円の年収ダウンとなる傾向があります。
ただし、SMO大手4社(EPLink、シミックヘルスケア・インスティテュート、ノイエス、アイロム)の未経験時平均年収は約409万円で、中小規模SMOの約375万円と比べて約34万円高くなっています。この差は主に賞与に起因しており、大手は基本給の約4ヵ月分、中小は約2ヵ月分という違いがあります。
CRCの経験年数が増えれば昇給も見込め、3年経験で約450万円、5年経験で約450〜500万円、7年経験で約500万円以上が平均的な水準です。マネージャーやオフィス長といった管理職に就くことができれば、年収600万円以上も期待できます。また、CRCの昇給率は月給の1〜2%程度と、病院勤務(年間1,000〜3,000円程度の昇給)よりも高い傾向にあります。
CRCの1日の流れ(例)
CRCの典型的な1日は以下のような流れです。8時30分頃に担当医療機関へ出勤し、メールチェックとその日のスケジュール確認を行います。9時からは被験者の来院対応として、バイタルサイン測定の立会い、服薬状況の確認、副作用ヒアリングなどを実施。午前中に2〜3名の被験者対応を行うのが一般的です。12時からの昼休憩を挟んで、午後は症例報告書(CRF)の作成、プロトコルに基づくデータ確認、治験薬の在庫管理などのデスクワークが中心になります。15時頃からはCRA(モニター)の訪問対応やカンファレンスへの参加、翌日の準備を行い、17時30分頃に業務終了となります。基本的に土日祝が休みで、被験者の来院スケジュールに合わせて自分で予定を組めるため、ワークライフバランスを保ちやすい点が特徴です。
CRA(臨床開発モニター)の仕事内容・年収・1日の流れ
CRAの仕事内容
CRA(臨床開発モニター)は、治験がプロトコルとGCPに従って適切に実施されているかを監視(モニタリング)する職種です。業務は「治験開始前」「治験実施中」「治験終了後」の3つのフェーズに分かれます。
治験開始前は、治験を実施する医療機関の選定と調査、治験責任医師や担当スタッフとの契約手続き、治験の計画手順に関する説明会の実施、治験薬の搬入と管理手順の確認などを行います。治験実施中は、医療機関を定期的に訪問してモニタリング業務を実施します。具体的には、症例報告書(CRF)の記載内容とカルテ(原資料)との照合、有害事象発生時の詳細報告、治験薬の管理状況の確認、被験者の登録進捗管理などです。治験終了後は、すべての被験者の治験完了を確認し、最終的なデータの整合性チェックと終了手続きを行います。
CRAの業務は出張を伴うことが多く、担当する医療機関が全国各地に点在するケースもあります。一方で、近年はリモートモニタリングの導入が進み、在宅勤務の機会も増えています。
CRAの年収データ
厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、CRAの平均年収は約481万円です。薬キャリ(m3.com)のデータでは、CRA初年度の年収は約450万円前後で、5年以上の経験を積むと600万〜1,000万円に達するケースも珍しくないとされています。
CRAの年収がCRCより高めになる理由は、出張対応が多いことによる各種手当、GCPや薬事規制に関する高い専門性、そして外資系CROへの転職によるさらなる年収アップの可能性が挙げられます。特に外資系CROで管理職を目指す場合、年収1,000万円以上も十分に射程圏内です。
薬剤師からCRAへ未経験転職した場合、初年度は年収が下がる傾向がありますが、CRCと比較すると年収の天井が高く、長期的なキャリアで見ると年収アップを実現しやすい職種です。製薬会社への転職についてより詳しく知りたい方は、製薬会社への薬剤師転職ガイド|職種別の年収・仕事内容・転職成功のポイントを徹底解説もご参照ください。
CRAの1日の流れ(例:内勤日)
CRAの1日は内勤日と外勤日で大きく異なります。内勤日(在宅勤務含む)の場合、9時に業務を開始し、メールチェックとタスクの優先順位付けから始まります。午前中はモニタリングレポートの作成やCRF(症例報告書)のデータ確認、クエリ(質問票)の発行などのデスクワークに充てます。昼休憩後の午後は、プロジェクトチームのミーティングや社内関連部署との連絡調整、次回施設訪問の事前準備などを行い、18時頃に業務終了となります。外勤日は担当医療機関を訪問してSDV(Source Data Verification=原資料との照合)やCRCとの打合せ、医師面談などを実施し、移動時間を含めて1日を費やすことが多くなります。
CRCとCRAの徹底比較|薬剤師はどちらを選ぶべきか
薬剤師が治験業界への転職を検討する際、CRCとCRAのどちらを選ぶかは最も重要な判断です。両職種の違いを多角的に比較し、自分に合った職種を見極めるためのポイントを整理します。
まず所属先についてですが、CRCはSMO企業(または院内CRC)に所属して医療機関内で勤務し、CRAはCROまたは製薬会社に所属してオフィスや在宅で内勤しつつ、定期的に医療機関を訪問します。働き方の面では、CRCは担当医療機関への通勤が基本で出張は少なめ、転勤もほとんどありません。CRAは担当施設への出張が発生し、全国規模のプロジェクトを担当する場合は出張頻度が高くなりますが、近年はリモートモニタリングの普及で在宅勤務の割合が増えています。
年収面では、CRCの未経験初年度が約407万円で経験7年以上でも約500万円程度が平均であるのに対し、CRAは初年度約450万円で経験5年以上だと600〜1,000万円を目指せるという明確な差があります。キャリアパスの広がりにおいても、CRAは経験を積むことでプロジェクトマネージャー、メディカルライター、薬事(レギュラトリーアフェアーズ)、製薬企業の開発部門など多方面へのキャリアチェンジが可能です。CRCもマネージャーや教育担当への昇進、あるいはCRAへのキャリアチェンジが可能ですが、CRAほど選択肢の幅は広くありません。
一方、CRCの魅力は被験者(患者さん)と直接関わりながら新薬開発に貢献できる点です。調剤薬局や病院で培った「患者さんとのコミュニケーション能力」をそのまま活かせるため、キャリアチェンジ後も仕事のやりがいを感じやすいでしょう。CRAは書類ベースの業務やデータ管理が中心で、患者さんと直接接する機会はほとんどありません。
判断のポイントをまとめると、「患者さんと関わりたい」「出張を避けたい」「地域密着で働きたい」という方はCRC、「年収アップを重視したい」「キャリアの選択肢を広げたい」「在宅勤務やグローバルな環境に興味がある」という方はCRAが適しています。
薬剤師が治験業界(CRC・CRA)に転職する5つのメリット
メリット1:新薬開発の最前線に携われるやりがい
治験業界に転職した薬剤師が最も強く感じるのが「やりがい」です。調剤薬局では完成した薬を患者さんに届ける立場ですが、CRCやCRAは「薬が生まれる過程」に直接関わることができます。実際にドラッグストア薬剤師からCRAに転職した方は、「添付文書に記載されている副作用は、こういうルールに則って記載されるのかという発見があり、日々面白い」と語っています。新しい治療法を世に送り出すことで、まだ治療法のない疾患に苦しむ患者さんの力になれるという実感は、薬剤師としての知識を最大限に活かせる場面です。
メリット2:土日祝休みでワークライフバランスが向上
CRCもCRAも基本的にカレンダー通りの休日です。薬局やドラッグストアのシフト制勤務、病院薬剤師の当直対応から解放されるため、プライベートの時間が確保しやすくなります。CRC経験者の口コミでは「看護師のときは有給は都市伝説だったが、CRCになってから休みたいときに休みがとれるようになった」という声があり、ワークライフバランスの改善は多くの転職者が実感するメリットです。
メリット3:薬の専門知識をダイレクトに活かせる
治験業界では、薬物動態(ADME)、作用機序、併用禁止薬の知識、副作用のメカニズムなど、薬剤師が大学で学び実務で培った知識がそのまま武器になります。CRCであればプロトコルの理解や被験者への説明、治験薬管理において薬剤師の知識が大きなアドバンテージとなり、CRAでもGCP遵守の確認やデータレビューにおいて薬学的な視点が高く評価されます。
メリット4:自分のペースで仕事のスケジュールを組める
CRCは担当する被験者の来院スケジュールに合わせて自分でスケジュールを組むため、裁量の高い働き方が可能です。CRAもモニタリング訪問の日程を自分で調整し、内勤日は在宅勤務を選択できる企業が増えています。CRC経験者からは「自分が主体的にスケジュールを決められるのでストレスがたまりにくい。基本的には個人で仕事をするので気がとても楽」という声が寄せられています。
メリット5:キャリアの選択肢が大幅に広がる
治験業界でのキャリアは、将来的な選択肢の広がりが大きな魅力です。CRAを経験すれば、メディカルライター、安全性情報管理(ファーマコビジランス)、薬事申請(レギュラトリーアフェアーズ)、製薬企業の開発部門など、多様なキャリアパスが開けます。CRCからCRAへステップアップすることも可能です。薬剤師からCRAに転職した方は「CRAを経験すればメディカルライターや製薬企業への転職も目指せる。いろんな可能性が広がる」と述べており、キャリアチェンジによって将来の選択肢が飛躍的に増えることは大きなメリットといえます。
薬剤師が治験業界に転職する際のデメリット・注意点
デメリット1:初年度は年収が下がる可能性が高い
治験業界への転職で最も覚悟すべき点が年収の減少です。薬剤師の平均年収は約599万円(令和6年賃金構造基本統計調査)であるのに対し、CRC未経験の初年度平均年収は約407万円、CRAでも約450万円前後となります。特に30代の薬剤師の場合、CRCへの転職で約130万円もの年収ダウンになる可能性があります。年収アップを最優先に考えるのであれば、CRCよりCRAを選ぶか、経験を積んだ上で外資系CROへの転職を視野に入れるなど、長期的な視点での計画が必要です。
デメリット2:CRAは出張が多くなる場合がある
CRAは担当する医療機関への訪問がメイン業務の一つであるため、全国規模のプロジェクトを担当する場合は出張頻度が高くなります。宿泊を伴う出張が月に数回発生することもあり、家庭環境やライフスタイルによっては負担に感じる方もいます。近年はリモートモニタリングの導入で改善傾向にありますが、完全に出張がなくなるわけではない点は理解しておく必要があります。
デメリット3:デスクワークとPCスキルが求められる
CRCもCRAも、症例報告書の作成やモニタリングレポートの作成など、文書作成業務が多くを占めます。調剤薬局や病院でのハンズオンな業務とは異なり、PCに向かっての作業が中心になるため、この変化に戸惑う方もいます。ExcelやWord、EDC(電子データ収集システム)の操作スキルが求められるほか、英語の論文やプロトコルを読む機会もあるため、転職前から基本的なPCスキルと英語力を高めておくとスムーズです。
デメリット4:調剤スキルの維持が難しくなる
治験業界では処方箋に基づく調剤業務は行わないため、薬剤師としての調剤スキルは徐々に衰えていきます。将来的に薬局や病院に戻る可能性を考えている方は、この点をデメリットとして認識しておく必要があります。ただし、薬の知識そのものは治験業務を通じて深まるため、薬学的な専門性自体は維持・向上できます。
薬剤師から治験業界へ転職した人のリアルな口コミ・評判
ポジティブな口コミ
ドラッグストア薬剤師からCRAに転職した方は、「添付文書に記載されている副作用のルールに気づかされたり、日々面白い発見ができています。新しい薬の開発に貢献できるやりがいを感じています」と、知的好奇心が満たされる仕事であることを強調しています。また同じ方は「週に2〜4日ほど在宅勤務をしており、通勤時間ゼロのインパクトはかなり大きい」と、CRAの柔軟な働き方を高く評価しています。
CRCに転職した方からは「自分が主体的にスケジュールを決められるのでストレスがたまりにくい。基本的には個人で仕事をするので気がとても楽」という声があり、薬局特有の対人ストレスから解放されたことをメリットとして挙げる方が多く見られます。「CRCになってから、休みたいときに休みをとることができるようになった。ワークライフバランスが向上した」というワークライフバランスの改善も、転職者の満足度が高いポイントです。
さらに、薬剤師からCRAに転職した別の方は「CRAを経験すればメディカルライターや製薬企業への転職も目指せる。内資系CROは穏やかな雰囲気で研修もしっかりしている」と、キャリアの広がりと職場環境の良さを伝えています。
ネガティブな口コミ
一方で、年収面のデメリットを指摘する声も少なくありません。「ドラッグストア薬剤師で年収500万台後半だったが、CRA転職後は一度下がった」という体験談があります。CRCに関しても、CRCばんくのデータによると、30代の薬剤師がCRC未経験転職した場合の初年度平均年収は約450万円で、薬剤師時代と比較して約150万円減少するケースがあると報告されています。
また、「最初の半年は覚えることが膨大で大変だった」「GCPや社内SOPなど、薬学部では学ばない規制関連の知識を一から学ぶ必要がある」といった、学習面での負荷を感じる声もあります。転職直後の研修期間を乗り越えられるかどうかが、治験業界での定着に大きく影響するといえるでしょう。
転職体験談についてもっと知りたい方は、薬剤師の転職体験談まとめ|成功・失敗のリアルな声から学ぶ転職成功のコツも参考になります。
治験業界への転職はこんな薬剤師におすすめ
治験業界(CRC・CRA)への転職は、すべての薬剤師に向いているわけではありません。以下のような志向やバックグラウンドを持つ薬剤師にとって、治験業界は特にフィットする選択肢です。
まず、「調剤業務のルーティンに飽きてしまった」「もっと上流工程で薬に関わりたい」と感じている方。新薬開発という未知の領域で薬の知識を活かせる治験業界は、マンネリからの脱却と新たなやりがいを提供してくれます。
次に、「コミュニケーション能力を活かしたい」方。CRCは被験者や医師との対話が中心で、CRAも医療機関のスタッフや社内チームとの折衝が多い仕事です。服薬指導で培ったコミュニケーションスキルは、治験業界でも大いに役立ちます。
また、「土日休み・ワークライフバランスを重視したい」方にもおすすめです。シフト制の薬局やドラッグストアと異なり、治験業界はカレンダー通りの休日が基本です。特にドラッグストア薬剤師からの転職を検討している方には、ドラッグストア薬剤師への転職ガイド|年収比較・口コミ・成功のコツを徹底解説で現在の働き方を比較してみるのも一つの方法です。
さらに、「将来的に製薬企業やグローバルな環境で働きたい」方。CRA経験者は製薬会社の開発部門や外資系企業への転職が有利になるため、長期的なキャリアアップを見据えている方にとって治験業界は最適なステップです。
最後に、「年齢的なリミットを意識している」方。CRC未経験の場合は35歳前後、CRC経験者の場合は45歳前後までが採用されやすい傾向にあります。CRAも未経験からの転職は20代後半〜30代前半が中心です。転職を検討しているなら、早めの行動が望ましいといえます。
薬剤師が治験業界への転職を成功させるためのステップ
ステップ1:CRCとCRAの違いを理解し、志望職種を決める
前述の比較を踏まえ、自分が「患者さんとの関わり」「地域密着」を重視するならCRC、「年収アップ」「キャリアの幅」を重視するならCRAと、まずは志望職種を明確にしましょう。迷った場合は、両方の求人に応募して面接の中で情報を集めるという方法も有効です。
ステップ2:臨床経験を棚卸しして強みを整理する
薬剤師としての臨床経験は治験業界で高く評価されます。特に調剤経験2年以上、病院での薬剤管理指導の経験、がん領域・循環器領域などの専門領域の知識、英語論文の読解経験などは面接でのアピール材料になります。職務経歴書には、具体的な処方箋枚数や担当した疾患領域、チーム医療での役割などを数字を交えて記載すると説得力が増します。
ステップ3:GCPの基礎知識を事前に学んでおく
治験業界の共通言語であるGCP(Good Clinical Practice)の基礎知識を転職活動前に把握しておくと、志望動機に深みが出ます。ICH-GCPガイドラインや治験のプロセスについて書籍やオンライン資料で学習しておきましょう。面接では「GCPの基礎は独学で学んでいます」と伝えるだけでも、本気度が伝わります。
治験やGCPに関する書籍を探す場合は、Amazonで「治験 薬剤師 転職」を探すのも参考になります。
ステップ4:治験業界に強い転職エージェントを活用する
治験業界への転職では、業界に精通した転職エージェントの活用が成功率を大きく左右します。CRCばんくやCRCJOBなどの治験業界特化型のエージェントは、各SMO・CRO企業の内部事情に詳しく、選考対策も的確です。加えて、マイナビ薬剤師や薬キャリなどの薬剤師向け総合転職サイトでも治験求人を扱っているため、複数のチャネルを併用して情報収集することをおすすめします。
ステップ5:志望動機と面接対策を万全にする
治験業界への転職面接では、「なぜ調剤ではなく治験なのか」が必ず問われます。志望動機には「薬の知識を新薬開発の上流工程で活かしたい」「まだ治療法のない疾患の患者さんの力になりたい」といった前向きな理由を軸に、自身の臨床経験との具体的な接点を盛り込みましょう。「年収が上がるから」「楽そうだから」といった理由は当然NGです。面接対策としては、プロトコルの読み方やGCPの基本的な考え方について質問されることを想定し、準備しておくと安心です。転職成功者の実例をもっと知りたい方は、薬剤師の転職成功例7選|年代・職種別のリアル体験談と成功のポイントを徹底解説【2026年最新】もぜひご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 薬剤師がCRCに転職する場合、年齢制限はありますか?
CRC未経験の場合は35歳前後、CRC経験者の場合は45歳前後までが採用されやすい傾向にあります(CRCばんく調べ)。ただし、これはあくまで目安であり、臨床経験の内容やコミュニケーション能力によっては例外もあります。CRAについても未経験からの転職は20代後半〜30代前半が中心ですが、薬剤師資格やMR経験がある場合は30代半ばでもチャンスがあります。
Q2. CRCやCRAに転職するために特別な資格は必要ですか?
CRC、CRAともに必須の資格はありません。ただし、薬剤師、看護師、臨床検査技師、管理栄養士などの医療系国家資格を持っていることが応募条件となっているケースが大半です。薬剤師資格はCRC・CRAのいずれの職種でも高く評価され、採用選考で有利に働きます。なお、CRCとして2年以上経験を積むと「CRC認定資格」の受験が可能になり、取得すると月3,000〜5,000円の資格手当がつく企業もあります。
Q3. 薬剤師からCRAに転職した場合、年収はどのくらいになりますか?
CRA未経験の初年度の年収は約450万円前後が目安です。薬剤師の平均年収(約599万円)と比較すると初年度は下がる可能性がありますが、CRAは経験を積むほど年収が上がる職種です。5年以上の経験で600万〜1,000万円に達するケースもあり、外資系CROで管理職を目指す場合は年収1,000万円以上も現実的なラインです。
Q4. CRCとCRAの離職率はどのくらいですか?
公式な離職率データは限られていますが、業界関係者の情報によると、CRCの離職率はSMO大手で年間10〜15%程度、CRAはCRO大手で年間15〜20%程度といわれています。CRCは初年度のギャップ(年収ダウン、デスクワーク中心の業務への不適応)が離職の主因で、CRAは出張の多さや業務負荷が要因として挙げられています。研修制度が充実している大手企業を選ぶことで、未経験からの定着率は高まる傾向があります。
Q5. 未経験でも治験業界に転職できますか?研修制度は充実していますか?
薬剤師を含む医療系有資格者であれば、未経験でも治験業界への転職は十分可能です。特にSMO大手4社(EPLink、シミックヘルスケア・インスティテュート、ノイエス、アイロム)は未経験者向けの研修プログラムが充実しており、入社後1〜3ヵ月の研修期間を設けてGCPの基礎知識やCRC実務のトレーニングを行います。CROにおいても、内資系大手は穏やかな雰囲気で研修が手厚いと転職者から評価されています。臨床経験2年以上が一般的な応募条件となるため、薬剤師として一定の実務経験を積んでから転職するのがベストです。
Q6. CRCやCRAの仕事に英語力は必要ですか?
CRCの場合、グローバル治験を担当するとプロトコルが英語で書かれているケースがありますが、日本語に翻訳された資料も用意されることが多く、高度な英語力が必須というわけではありません。一方、CRAは外資系CROを中心に英語での報告書作成やグローバルチームとのメール・会議が発生する場合があり、英語力があるとキャリアアップに有利です。TOEIC 600点以上を目安に英語力を磨いておくと、外資系CROへの転職や年収アップにつながります。
Q7. 治験業界のAI・DX化は進んでいますか?薬剤師に影響はありますか?
治験業界ではDCT(Decentralized Clinical Trial=分散型臨床試験)やリモートモニタリング、AIを活用した被験者スクリーニングなど、デジタルトランスフォーメーションが加速しています。こうしたDX化により、CRAの出張頻度の減少やデータ管理業務の効率化が進んでいます。薬剤師にとっては、デジタルツールへの適応力が新たに求められるスキルとなる一方、従来型の対面モニタリングや被験者対応が完全になくなることは当面考えにくく、治験業界での薬剤師の需要は今後も堅調に推移すると見込まれています。
まとめ|薬剤師の治験業界転職は「年収ダウン」を超える価値がある
薬剤師から治験業界(CRC・CRA)への転職は、初年度の年収ダウンというデメリットがありつつも、新薬開発に携われるやりがい、土日祝休みのワークライフバランス、将来的なキャリアの幅広さという大きなメリットを享受できる選択肢です。
CRCは患者さんとの直接的な関わりを重視する方に、CRAは年収アップとキャリアの広がりを重視する方にそれぞれ適しています。いずれの場合も、薬剤師としての薬の知識・臨床経験は治験業界で高く評価される強みです。
転職を成功させるためには、CRCとCRAの違いを正しく理解し、GCPの基礎知識を事前に学び、治験業界に強い転職エージェントを活用して万全の面接対策を行うことが重要です。特にCRC未経験の場合は35歳前後、CRA未経験の場合は30代前半までが有利な転職時期となるため、検討中の方は早めに情報収集と行動を開始することをおすすめします。
治験業界への転職は、薬剤師キャリアの新たな可能性を切り拓く大きな一歩です。本記事の情報を参考に、あなたに最適なキャリアパスを見つけてください。

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