
遂に売り手市場の終焉?
薬剤師の転職市場は、今まで「売り手市場」と言われていました。
しかしながら、売り手市場も終わりが近づいています。
2015年2月に実施された国家試験の合格率は76.85%。
過去最高の新卒薬剤師が誕生しました。
これには、慢性的な薬剤師不足が背景にあります。
第99回(2013年度)、第100回(2014年度)の合格率低下を受けて、合格基準の見直しや試験問題の見直しが実施されました。
これが実施された背景には、新卒薬剤師の入社を見込んで年間計画を立てている医療機関にとっても、合格率低下が人手不足の大きな問題となっていたのです。
しかしこれらは、現役薬剤師の転職にとっては有利に働いていました。
慢性的な人手不足により、求人数も多いため、転職をする際には条件交渉(年収、就業時間、就業曜日)などがしやすくなっていました。
今後は多くの新卒薬剤師が誕生し、薬剤師の飽和が見込まれ、思う通りの条件で転職するのは難しくなる時代もそう遠くはありません。
これからは「量」より「質」の時代に
2016年4月に実施された調剤報酬改定では、「かかりつけ薬剤師」の機能を持たせるなど、役割が見直され、調剤偏重の時代から大きく変化を迎えようとしています。
今後は対面業務に重きが置かれ、プライマリケアの担い手として業務が拡大していくことが予想されます。
現在の調剤業務は、テクニシャン制度の導入、調剤の機械化も推進されていくでしょうし、OTC販売に関しては登録販売者が代替することも可能となる時代も近いかもしれません。
更にはネット販売の規制緩和などで「薬剤師でなければいけない」ということが薄れてくる時代が到来するのです。
だからこそ、「調剤のみしか対応できない薬剤師」の需要は減り、+αの業務ができる人だけが生き残れる時代に遷移しつつあります。
これからは、「患者に選ばれる調剤薬局、病院、ドラッグストア」が生き残り、ひいては「患者に選ばれる薬剤師」でなければ高年収を得ることができなくなるでしょう。
M&Aにより業界再編も進み、10年後に現在就業している調剤薬局、病院、ドラッグストアが残っている保証もありません。
ですから、これからは厳しい募集要件が追加される可能性も高く、転職活動も賢くしなければ、自分の希望に叶う職場で転職することが難しくなる時代が到来しようとしているのです。
だから賢く転職活動をしよう
これからは、条件面だけではなく、募集背景や企業情報を細かく精査する必要が出てきます。
というのも、「かかりつけ薬剤師」への対応状況―具体的には、かかりつけ薬剤師のノルマを課している調剤薬局なども出ています。
また、これらに係る人事制度も確認しなければ、昇給が難しいケースなどもあります。
これからは、いかに「詳細で正しい情報」を取得ができるのか、ということが転職成功の鍵になってきます。
個人で正しい情報を得るには限界があります。ですから、一番情報をもっている転職エージェント(人材紹介会社)を利用することをオススメなのです。