
派遣薬剤師にとって、動きやすい時期がある――というのはご存知ですか?
年間を通して、さまざまな求人がありますが、実は時期によって求人のボリュームは違ってきます。求人の数が増えれば、それだけ選択肢が広がり、理想の派遣先と出会えるチャンスも増えますよね。
これから「派遣薬剤師になりたい」と思っている薬剤師や、復職したいと考えているママ薬剤師は必見! 1年の中でも特に転職に良いベストシーズンを知っておくことで、少しでも希望に近い派遣先と出会えるように、しっかりと準備をしておくことができますね。
派遣先が見つかりやすい時期について、具体的な事例を基に見ていきましょう。
<春>2月~3月は求職活動を始めるベストシーズン
派遣先が一番見つかりやすいと言われているのは、春。
特に2月~3月にかけては、派遣薬剤師にとって、求職活動を始めるベストシーズンです。
それはいったい、どうしてでしょうか。
求職者側と雇用側の両方の事情を探ってみましょう。
◯求職者側の事情
春は新生活がスタートする時期。
「年度初めから新しい職場で再スタートを切りたい!」
そう考える人もたくさんいますよね。
働きたいと考えるママにとっても、それは例外ではありません。
実際に4月復帰を目指して、預入先との調整や慣らし保育など、年明けからそわそわと動きだすママも多いはず。そんな4月復帰を目指すママの最大の活動期が、2月~3月なのです。
薬剤師の中には、ママ薬剤師がたくさん活躍しています。
出産後は、「子供が2歳になるまでに復職したい!」と考えるママ薬剤師が多く、そうしたママたちは、保育園などの預け先が決まってから就職活動を始めます。
保育園に預けられるかどうかは、一般的に2月~3月にわかることが多いため、預入先が決まったママたちがこぞって復職に向けた活動を始めるのが、ちょうど2月~3月というわけなのです。
また、「今の職場に不満がある」「もっと収入を増やしたい!」と考える転職希望者が増えるのもこの頃。冬のボーナスをもらってから会社に退職の意を伝え、年明けから転職活動を始めるという人が出てくるため、この時期に動き出す人が増えてくるのです。
◯雇用側の事情
実は2~3月と言えば、本来4月入社の正社員の採用活動は終わっていなければならない時期。採用できなかったポジションや人員不足を補えなかった企業の採用担当者の焦りがピークに達する時期でもあるのです。つまり、正社員で採用したいポジションも短期間で採用を完了することのできる派遣へ切り替えて派遣会社へ発注するというパターンの求人が増えてくるという裏事情があります。
会社としては、少しでも良い人材を確保したいため、採用基準や待遇面を見直すこともあるのがこの時期。そうしたこともあり、この時期は魅力的な求人が出てきやすい時期とも言えるかもしれません。
○2月~3月が動きやすい理由は・・・
求職者側と雇用側の両方の事情を探ると、この時期に求人が増えるのも納得できますね。
4月までに人材を確保したいと考える会社にとって緊急度が高いため、この時期の求人は「急募求人」となり、転職活動中の人にとっては、時給交渉もしやすく狙い目な時期、と言えるでしょう。
派遣薬剤師の中には、復職を目指すブランクのあるママもたくさんいらっしゃいますよね。
冬の繁忙期を終え、少し職場に余裕が出てくるのも、この時期。
もし「ブランクがあって、過去の経験が生かせるか心配・・・」というママ薬剤師には、この時期の復職が安心かもしれません。
先輩たちにサポートしてもらいながら、ちょっとずつ勘を取り戻して行きましょう。
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<秋>9月~10月は夏休み明け&繁忙期前で転職市場が盛況に
秋もまた、春と同じように求職活動をするのに動きやすい時期と言われています。
繁忙期を前に、しっかりと人員を確保したいと考える会社が多く、比較的条件の良い求人が増えるのも、ちょうどこの時期。
それでは、求職者側と雇用側の事情を探っていきましょう。
春とはまた違った事情が見えてきます。
◯求職者側の事情
慌ただしく始まった春の新生活・新学期も、6月7月になるころには、ようやく落ち着いてくるもの。子供がいるママにとって、春は本当に忙しい季節ですよね。
入園・入学したばかりは、なかなかママと離れられずに泣いてしまったり、保育園や学校に行きたくないと騒いだりしていた子も、この時期になると、少しずつ生活に慣れ、新しいお友達・新しい環境を楽しめる余裕も生まれてきます。
そんな子供の姿を見届けたママたちが、「そろそろ仕事に復帰したい!」と考え、行動を始めるのがこの時期。
しかし、実際には、夏休みを前に動けない事情があるのです・・・。
薬剤師は子供が生まれてからも続けられるということが魅力の一つでもあり、女性の割合が多い薬剤師。特に派遣薬剤師は女性の割合が多く、8割~9割が女性なのです。
子供が夏休みに入る7月下旬~8月末までは、子供の相手をしたり、食事の準備に追われたりと、物理的に動けないママ薬剤師がたくさんいます。そうした事情もあり、「夏休みが終わったら復帰!」と考えるママ薬剤師が多く、夏休み明けは、その反動で転職活動が活発になる傾向にあるのです。
◯雇用側の事情
毎年インフルエンザやノロウィルスなど感染症が流行する冬は、処方箋の数が多く薬局にとっては繁忙期。そんな冬の繁忙期に備えて、人員を増やしたいと考える薬局が増えるのも、ちょうどこの時期なのです。
「繁忙期に入る前に、職場に慣れてもらい、いざという時には即戦力として頑張ってもらいたい」
「職場の体制を、忙しくなる前にしっかりと整えておきたい」
そうした雇用側の思惑もあって、8月の夏休みを過ぎたころから、徐々に求人数が増えてきます。
特に、門前薬局などは需要が増える傾向にあります。
※薬局によっては繁忙期だけ人員を増やして、人手不足を補う店舗もたくさんあります。
○9月~10月が動きやすい理由は・・・
秋は、夏のボーナスをもらってから退職してしまう人や、新卒入社で早々に辞めてしまう人など、実は人の出入りが激しくなる時期でもあります。
人員を確保したい会社が増えるため、会社は中途採用を積極的に行うので、仕事を探す人にとっては、チャンスが増える時期と言えそうですね。
また、冬場の風邪や感染症が流行する前に、「穴埋めのため、人員を補充しておきたい」「繁忙期に備えて、人員を増やしておきたい」と考える薬局が増えるため、求人も増えますし、採用する側の緊急度も高くなると言えるでしょう。
採用活動が活発になれば、条件の良い魅力的な求人も増えますし、理想に近い求人と出会うチャンスも増えてくるはずです。
秋に転職した小学生ママ薬剤師の場合
プロフィール:30代 女性薬剤師 / 子供2人(小学校3年生・1年生)
経歴:調剤薬局にてフルタイム勤務
転職後:調剤薬局にて1日5時間、週5日勤務
子供たちを学童に預けて、フルタイム勤務をしていましたが、近所に住む義父が倒れてしまい、介護の手伝いをする必要が出てきました。このままフルタイムで仕事を続けることは難しく、また、私が勤める薬局には、正社員しかおらず、時短勤務で働くという事例も雰囲気もありませんでした。夏休みの間は子供が家にいることも多く、求職活動などはできずに、夏休み明けに思い切って派遣会社に登録してみることに。すると、登録した翌日には1日5時間、週に25時間の勤務で働ける薬局が見つかりました。すぐに上司に相談すると、事情が事情なので、すんなりと退職の手続きを進めてもらえました。忙しくなる前に、新しい職場に慣れておきたいと考えていたので、無事に繁忙期に入る前に転職することができて、安心しました。
正直、ずっと派遣で働くつもりはありません。ただ、今は子供のこともありますし、介護の手伝いもありますので、この働き方にとても満足しています。除々に義父も回復してきているので、今後の様子を見ながら、少しずつ先のことを考えたいと思っています。
ポイント
春に転職したママ薬剤師も、秋に転職したママ薬剤師も、それぞれの事情を抱えながらも、納得のいく転職ができたようですね。
春に転職したママ薬剤師は、無理せず小さい子供の育児との両立をするために週4日の勤務を希望しました。秋に転職したママ薬剤師は、子育てと義理の父の介護のダブルケアをするために1日5時間の勤務を探しました。両者とも採用市場で有利とは言い難い立場でした。
それでもスムーズに希望条件を満たす転職ができたのは、彼女たちが動いた時期が正解だったからと言えるでしょう。派遣の求人が活発になるシーズンの少し前から準備を始めたからこそ、良い求人に出会い、チャンスをつかむことができたのです。
また、事例の2人のママ薬剤師はライフイベントや家族の状況に合わせて派遣薬剤師の道を選択しました。結果、雇用形態にこだわることなく薬剤師という仕事を続けていくことができました。キャリアを途切れさせることなく実績を積み上げ、柔軟に薬剤師としての価値を高めています。派遣という働き方は、家族の状況に仕事が左右されがちなママにとってはありがたい雇用スタイルではないでしょうか。
動きやすい時期というのは、同時に求職者も増えるので、当然競争率が高くなってしまいます。
また、雇用側も少しでも早く、良い人に来てもらいたいと考えている時期でもあります。
たくさん求人がある中、そのチャンスを逃してしまっては元も子もありません。
「動きやすい時期=競争率が上がる=良い求人が早くなくなっていく」ということでもあるので、良い求人と出会うためには、今すぐに転職する気がなくても、まずは登録だけでもしておくことをオススメします。
派遣会社に登録をすると、まずはコンサルタントによるカウンセリングがあります。担当のコンサルタントに、どんな働き方がしたいのか、新しい職場に何を求めているのか、自分の希望をしっかりと伝えておくと良いでしょう。また、あわせて自分のライフステージの予定(結婚、出産、引っ越しの予定など)を併せて伝えておくのも良いでしょう。様々な自分の情報を提供しておくことで、希望する求人が出てきたときに、コンサルタントから連絡がもらえるような関係性を作ることができます。状況や希望の条件が変わった時は、コンサルタントとコンタクトを取り、コミュニケーションを取るといいでしょう。
「働きたい!」「復職したい!」と思っていても、育児や家事を主体的に担うことの多い女性にとって、実際には思い通りにいくことの方が少ないのかもしれません。
そうした中で、派遣という働き方を選択することで、育児や介護といった事情を抱えながらも、無理なく働ける環境を見つけることができます。さらにその中で、少しでも希望する条件に近い、自分にとっての良い求人と出会うチャンスを広げるためにも、動きやすい時期を知り、それに備えて少し早めに行動する、ということが転職を成功させるための秘訣となりそうです。
転職HAKASEでは、ママ薬剤師が転職する際にオススメの派遣会社をランキング形式で紹介しております。
春に転職した2児の未就学児ママ薬剤師の場合
プロフィール:30代 女性薬剤師 / 子供2人(3歳・1歳)
経歴:病院に3年勤務→OTC併設ドラッグに5年勤務
転職後:調剤薬局にて1日7時間、週4日勤務
1人目を出産したときは、産休・育休の取得から復職まで2社目のドラッグストアに勤務。2人目も同じように・・・、と思って育休まで取得したものの、正直2人の小さな子供を抱えながら正社員として時短勤務できるのか不安でした。2人目の子供が病気がちということもあり、復職後は、融通が利きやすい派遣で働くことにしました。前職でお世話になった上司にも相談すると、「派遣で一時的に繋いだ後、また戻ってこい」と言ってくれたので、育児が落ち着くまで派遣で頑張ってみることに。調剤の経験があったので、派遣先はすぐに見つかりました。配属されたのは、中堅のチェーン薬局で、週4の1日7時間勤務。提示された時給を見て、正直びっくりしました。正社員のときは、時給換算2400円だったのに、派遣で提示されたのは、時給2900円!
勤務時間は減ってしまいましたが、時給が高いおかげで、月の手取りは正社員の時とあまり変わらない金額をもらうことができました。派遣なのでボーナスがないのは少しさみしいですが、金額的にはとても満足しています。子供がもう少し大きくなって、落ち着いたら、また正社員で働きたいと考えています。それまでは、育児優先で頑張ろうと思っています。