
なんとなく、知っているようで知らない「登録販売者」。 登録販売者と薬剤師とどう違うの? 登録販売者にはどうやってなるの? 登録販売者として働くメリット・デメリットは? 登録販売者のお給与っていいの? など、詳しく解説していきます。 登録販売者の資格を検討している人は必見の内容です。
登録販売者とは...
2009年の薬事法の改正により誕生した比較的新しい国家資格です。
それまでは医薬品販売は薬剤師の行う業務でしたが、改正薬事法により、第1類を除く一般用医薬品に限っては、登録販売者が販売できることになりました。
実際にドラッグストアなどで販売されている医薬品のほとんどが、登録販売者が取り扱いできる第2類・第3類の一般用医薬品なので、登録販売者がいればドラッグストアの医薬品販売の業務の多くが賄えるということになるわけです。
登録販売者と薬剤師との違いは?
登録販売者と薬剤師の決定的な違いは、取り扱うことのできる薬の種類です。
薬剤師、第1類を含むあらゆる医薬品の取り扱いができますが、登録販売者は第1類を取り扱うことはできません。
また薬剤師は処方箋に基づいて保険調剤を行うことができますが、登録販売者は保険調剤は行えません。
登録販売者にはどうやってなるの?
登録販売者になるためにはまず、各都道府県が実施している試験に合格する必要があります。
登録販売者資格は国家資格ではありますが、試験の内容については都道府県によって異なります。
都道府県によって申し込み期間や試験日程も異なるので、お住まいの都道府県の情報を確認しましょう。
●登録販売者の受験資格
以前は受験資格がありましたが、2015年の登録販売者制度により受験資格はなくなりました。
現在はだれでも試験を受けることができます。
しかし、試験に合格しただけでは登録販売者として勤務することはできません。
●登録販売者数の推移
現在全国で登録されている登録販売者の数は25万3398人です。
薬剤師が現在30万人を超えたところなので、薬剤師よりやや少ないくらいの数ですね。
●登録販売者試験の合格率
毎年2万人以上の合格者を輩出する登録販売者試験。
実際の合格率はというと、昨年度実績で41.3%でした。
2015年以降、ぐっと受験者数が増えていますが、これは受験資格緩和のタイミングです。
間口が広がり受験者が増えたことで5%程度合格率が下がっています。
合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|
2018年 | 26,996 | 41.3% |
2017年 | 26,606 | 43.5% |
2016年 | 23,330 | 43.7% |
2015年 | 22,901 | 45.9% |
2014年 | 13,627 | 43.5% |
2013年 | 13,381 | 46.9% |
2012年 | 12,261 | 43.7% |
●登録販売者の試験の内容と難易度について
試験項目は以下の5項目で、厚生労働省から通知される「試験問題作成の手引き」から出題されます。
[登録販売者試験の試験項目]
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識
- 人体の働きと医薬品
- 主な医薬品とその作用
- 薬事関連法規・制度
- 医薬品の適正使用・安全対策
登録販売者の試験の合格基準は総出題数の7割以上の正答率、かつ各試験項目ごとの出題数に対して3割5分以上の正答と定められています。
偏りなくしっかりと試験対策ができていれば試験合格の難易度はそこまで高くはないでしょう。
[例]東京都の登録販売者試験合格基準
配点を各問1点とし、以下の2つの基準の両方を満たす受験者を合格とします。
1:総出題数(120問)に対する正答率が7割以上(84点以上)であること
2:各試験項目ごとの出題数に対する正答率が3割5分以上であること
出典:東京都福祉保健局「平成30年度登録販売者試験について」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kenkou/iyaku/tourokushiken/30shiken.html
●登録販売者試験を受験するまでの流れ
登録販売者試験は年に1度行われています。試験実施は都道府県ごとに異なり、8月に実施される県もあれば、12月の県もあります。
お住まいの都道府県の日程についてお早めにご確認ください。
まずは、試験日程と、受験申込期間の日程を確認し、都道府県別の窓口に問い合わせ願書を受け取りましょう。
願書の配布は、窓口配布、郵送配布、ホームページからのダウンロードで行われています。
※ダウンロードができない県もあるので必ず前もって確認しましょう。
願書が届くと、同封されている受験手数料の納付書に従い、指定の金融機関にて受験手数料を納付します。
受験手数料は都道府県によって異なります。(例:東京都 13,600円/広島県 15,000円/北海道 18,100円)
その際に受け取る領収書はなくさないようしっかりと保管しましょう。
手数料の納付が終わると、申請書類をそろえていきましょう。
[登録販売者試験の受験申請に必要な書類]
- 受験願書
- 写真台帳
- 手数料納付の領収書
受験願書が受理されると受験票及び試験案内が届きますので、確認して試験に備えましょう。
合格発表はホームページでの掲示や県庁、保健所の掲示板などへの張り出しなどで行われます。
こちらも各都道府県によってさまざまなのでホームページなどで確認をしましょう。
登録販売者試験に合格したらすぐに働けるの?
登録販売者として働くためには、勤務先のある都道府県で「販売従事登録」を行う必要があります。
申請には合格通知書はもちろん、医師による診断書なども必要になります。
さらに実際に一人前の登録販売者になるには「過去5年以内で2年以上月80時間以上」の実務・業務経験が必要とされています。
それまでは先輩登録販売者か、薬剤師の管理・指導の下で「登録販売者(研修中)」の身として勤務をし、経験を積みます。
晴れて登録販売者になれたとしても、休職等により、「過去5年以内に2年以上の実務・業務経験」を満たさなくなった場合、再度見習いの登録販売者に戻りますので注意が必要です。
登録販売者で働くメリット
- 転職先・就職先が豊富にある
セルフメディケーションの推進によりドラッグストア市場が再びにぎわっています。
さらにドラッグストア以外のスーパー・コンビニや家電量販店、ディスカウントショップ、ホームセンターなどでも医薬品販売が行われるようになっているため登録販売者の需要は非常に高まっています。
- 資格手当で年収アップが可能になる
- 家庭との両立もしやすい
- 開業もしやすくなる
国家資格なので資格手当などがつく場合もあります。
もともとドラッグストアで販売員として勤務していたが、登録販売者資格を取得し医薬品販売ができるようになったことで手当てがついた。
という話もよく聞きますね。
時給が上がる分、勤務時間を減らして家庭との両立もしやすくなったり、管理登録販売者になれば開業だってできるのがこの資格の魅力です
登録販売者で働くデメリット
- 立ち仕事なので体力勝負
登録販売者は薬局・ドラッグストア・スーパー・コンビニなどの小売店舗での販売業務がメインの仕事です。
基本的には立った状態で行う接客業なので、体力は必須です。
- 登録販売者の人手不足により忙しい
医薬品販売を行う上で薬剤師か登録販売者は必須ですが、店舗にたいして登録販売者の数が足りておらず、どこも人手不足なのが現状です。
メリットでもあげられた就職先が豊富にあり売り手市場である一方で、勤務実態としては過酷になることもあるようです。
また、こちらはデメリットではありませんが、一人前の登録販売者になるまでに一定程度の期間が必要なので、
資格取得のハードルがやや高く感じられるかもしれません。
先でも説明したように登録販売者の試験に合格しても実務経験を積まなければ一人前の登録販売者として勤務することはできません。
試験勉強を始めて一人前の登録販売者として自立するまでには3年程度かかることを覚悟しましょう。
登録販売者の給与事情
登録販売者の給与はいくらくらいでしょうか。
現在公開されている求人サイトの情報をもとにまとめました。
●エリア別登録販売者月給と推定年収
推定月収 | 推定年収 | |
---|---|---|
東京 | 25.3万円 | 354.2万円 |
大阪 | 25.3万円 | 354.2万円 |
愛知 | 26.0万円 | 364万円 |
北海道 | 23.8万円 | 333.2万円 |
広島 | 25.7万円 | 359.8万円 |
●年収イメージ
●実務経験2年 260万円~
●店長クラス 450万円~600万円
●エリアマネージャークラス 600万円~
これらのデータを見てわかるように、2年の実務経験を積んでデビューしてもすぐに高年収が得られる仕事ではないようです。
しかし、店長クラスになればかなり年収が跳ね上がっていきますので、年収アップを狙う人は粘り強く経験を積んでいくことをお勧めします。
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登録販売者についてのまとめ
前項でも言った通り、成長を続けるドラッグストア業界において登録販売者は売り手市場です。
特に女性の場合、ライフステージの変化とともに仕事を離れたり、復職したりする可能性があるため、
仕事と家庭を両立させるのに有利な資格を取得しておくのは安心材料になります。
そういった意味で、登録販売者の資格は難易度はやや高めですが、チャレンジする価値の大きい資格といえますね。
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