![薬剤師採用は難しい!?[エリア別]採用難易度解説と採用のコツ紹介](https://tenshoku-hakase.com/img/upload/2761311_s.jpg)
この記事は薬剤師を採用したい企業様向けの薬剤師採用ノウハウとポイントを解説した記事です。
年収が高く、求人倍率も高い薬剤師は、エリアによっても特性が異なります。
薬剤師の転職市場トレンドや、エリア特性別の薬剤師の採用方法など、これから薬剤師採用を考えている企業の採用担当者様必見の内容です。
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調剤薬局の収益悪化が止まりません。
自治体による外出自粛要請や第2派が騒がれる新型コロナウイルス感染症の影響で深刻な受診控えが続いています。
日本保険薬局協会の発表によると約9割の薬局で処方箋枚数の減少(昨年対比)があるという実態が確認されています。
調剤報酬の減少による経営悪化は深刻で、収益確保のため採用控え、派遣薬剤師の雇止めなどが発生している状況です。
登録型の派遣薬剤師にとっては短期間の契約を更新して働くことへのリスクが顕在化した格好になってしまいました。
これまで派遣で働いていた薬剤師が正社員/パートへの転換していく動きが活発化しているようです。
ところが、受け入れ側の薬局求人数が激減している状況下においては買い手市場化を加速させる動きにもつながっており、薬局薬剤師にとっては厳しい転職市場になりつつあります。
一方で調剤薬局とは対照的に、ドラッグストア勢の勢いが止まりません。
ドラッグストア需要の高まりに拍車がかかったことで、求人数が増加。年収が高いこともあり、これまでにも増して人気が高まっています。
■薬剤師の採用は難しい?
薬剤師の採用はこれまで長い間「地方部での深刻な薬剤師不足」での「売り手市場化」が進んでいることにより採用企業にとって採用難易度が非常に高い職種の一つでした。
実際に厚生労働省発表のデータを見てみると、2013年度の全職種での求人倍率が1.37倍だったのに対し、薬剤師の求人倍率はなんと10.05倍。非常に採用難易度の高い職種だということがわかります。
- 求人倍率とは、1人の求職者に対して求人が何件あるのかを示す数値で、数値が小さいほど求職者にとっては就職しにくい傾向となります
■求人倍率の推移
ところが、採用難易度の高い薬剤師採用市場に変化がみられています。
下のグラフは厚生労働省発表の「医師、歯科医師、獣医師、薬剤師」における新規求人数、新規求職者数、求人倍率の推移を表したものです。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が発令された2020年4月から「新規求人数」「新規求人倍率」が大きく下がっているのがわかります。
4月から6月までの推移を昨年同時期と比較をすると、新規求人数は平均74%まで減少、一方、新規求職申込件数(つまり求職者数)は平均106%とやや増加しています。
求人数は減り、求職者は増えているため、新規求人倍率が大きく下がっているようです。
出典:厚生労働省 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)「職業別労働市場関係指標(実数)(平成23年改定)(平成24年3月~)」
(用語解説)
・新規求人数...期間中に新たに受け付けた求人数(採用予定人員)
・新規求職申込件数...期間中に新たに受け付けた求職申込みの件数
・求人倍率...求職者に対する求人数の割合をいい、「新規求人数」を「新規求職申込件数」で除して得た「新規求人倍率」と、「月間有効求人数」を「月間有効求職者数」で除して得た「有効求人倍率」の2種類がある。
引用:「一般職業紹介状況(職業安定業務統計):集計結果(用語の解説)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/114-1_yougo.html
コロナによる影響を強く受け始めた4月以降の求人倍率を昨年同時期と比較してみましょう。
下の表を見てください。
年月 | 新規求人倍率 | 年月 | 新規求人倍率 |
2019年4月 | 3.53倍 | 2020年4月 | 3.01倍 |
2019年5月 | 4.80倍 | 2020年5月 | 3.50倍 |
2019年6月 | 3.53倍 | 2020年6月 | 3.01倍 |
2019年4~6月平均 | 4.66倍 | 2019年4~6月平均 | 3.29倍 |
2019年と比較すると、求職者に対しての求人数が平均4.7社から3.3社にまで減り、求職者にとっては就職しづらくなってきていることがわかります。
冒頭の求人倍率10.05倍の頃と比べるとここ数年での薬剤師採用市場の目まぐるしい変化ですね。
そして、この求人倍率の低下は採用企業にとっては有利な状況を作り出してきているとも言えます。
これまで薬剤師採用に頭を抱えてきた企業にようやく訪れた好機!と、思いきや、実際のところは直近での新型コロナ感染症の影響により、思うように採用を進められていない企業がほとんどです。
- 薬剤師の求人倍率は下落傾向!コロナの影響で求人倍率の低下に拍車
■コロナ禍における業種別転職市場トレンド
コロナ禍においては多くの業態で大幅に収益が悪化し、リストラや経営破産のニュースであふれかえっている状況です。
そんな中で、薬剤師の転職市場の動向はどのようになっているのでしょうか。簡単にまとめてみましょう。
[調剤薬局]
受診控えにより処方箋枚数が減少し、経営状況が悪化する企業が多く出ている状況です。
大手、中堅調剤薬局チェーンのなかでは日本調剤のみが対前同期比で売上高がプラス、その他の企業では減収となっており経費削減のための採用抑制が行われているため全体的に求人件数は減少を続けています。
特に時給の高い派遣薬剤師は雇止めが多く発生しているようです。
[病院]
コロナによる影響は病院経営にも色濃く出ています。外来患者や入院患者の大幅減少からおよそ4分の1の病院で夏季賞与の減額や無支給の選択をした状況が話題になりました。
医療スタッフのモチベーション低下による一斉退職問題、医療崩壊など様々なニュースが報道される一方で、病院での医療スタッフの需要はこれまで以上に高く、常に求人が出される状況ではあったようです。
[ドラッグストア]
ドラッグストア業態は2月下旬から始まったコロナ騒動により大きく売上を伸ばした業態の一ひとつでもあります。
経済産業省発表の商業動態統計速報によると、2020年6月のドラッグストアの売上高は前年同月比6.5%増の6128億円だったようです。
マスクやトイレットペーパーの買い占めを筆頭に、政府からの外出自粛要請に応じて生活圏で生活必需品を多くそろえるドラッグストアに人が集中したことで大きく売上を伸ばした企業もありました。
特に地方での大型店舗を多く有するウエルシアHD、ツルハHD、コスモス薬品、サンドラッグなどにおいては売上を大きく伸ばしているようです。
一方で、オフィス街などでの都市型店舗を多く有するマツモトキヨシHDにおいては外出自粛とインバウンド需要減の影響を強く受け、苦境に立たされている状況です。
- 調剤薬局は求人数が激減
- ドラッグストアの売上好調の影響で求人数は増加傾向
■薬剤師の採用課題は?
では、今後薬剤師の採用を進めていきたい企業様にとって、そのノウハウとポイントを解説していきます。
これまでも、「どうやって募集をすればいいかわからない」「求人を出してもなかなか薬剤師が集まらない」「採用できてもすぐにやめてしまう」など
さまざまに悩みを抱えてこられたかたも多いでしょう。
まず、薬剤師はどのような方法で採用すべきなのでしょうか。
データで見てみましょう。
薬剤師の採用方法
こちらは厚生労働省職業安定局から発表された医療分野における職業紹介事業に係るアンケートの結果をまとめたものです。
薬剤師の採用方法として最も利用されたのは「公共職業安定所(ハローワーク)」で全体の40.1%が利用していたようです。
そして「民間紹介事業者」「直接募集」「インターネットやSNSの求人情報サイト掲載」と続きます。
一方で、実際に採用できた方法では「民間紹介事業者」で全体の37.4%が回答しています。
次に多いのが「直接募集」で、「公共職業安定所(ハローワーク)」を利用して採用できたのは全体の9%です。
出典:厚生労働省 職業安定局需給調整事業課「医療・介護分野における職業紹介事業に関するアンケート調査 令和元年12月」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000579094.pdf
「公共職業安定所(ハローワーク)」の利用率が高いのは無料であることがその理由です。
ところが、薬剤師という職業は一筋縄ではいかない採用難易度の高い職種です。もちろん、「公共職業安定所(ハローワーク)」経由での採用ができないわけではありませんが、
御社の求める薬剤師を最も効率よく見つけるのであれば間違いなく「民間紹介事業者」がおすすめです。
■民間紹介事業者とは?
民間紹介会社とは一般的に「人材紹介会社」と呼ばれており、採用企業の求める人材条件にあった求職者を紹介してくれる企業のことを言います。
人材紹介会社には総合的にいろいろな職種を取り扱う人材紹介会社と、専門職に特化した人材紹介会社があります。
ここで注意すべきは、薬剤師の採用を行う場合は必ず薬剤師専門の人材紹介会社を利用することです。
まず一つ目に、紹介してもらえる薬剤師人数が全く違います。
一般的に世の中での薬剤師の出現率は数%です。一般職種も取り扱う紹介会社を利用すると当然ながら登録している薬剤師も少ないのです。
その点、薬剤師を専門に紹介している紹介会社では薬剤師を集めるノウハウを心得ているため、多くの薬剤師が登録しているのです。
そして二つ目に、担当してくれるアドバイザーの知識と経験が違います。
調剤薬局や病院、ドラッグストアへの薬剤師紹介を日々行っているアドバイザーはあらゆる面で採用を助けてくれます。
まずは、御社の求める薬剤師の人物像と条件を募集要項として提出します。
そうすると、近隣の同業他社求人と比較して、御社の魅力になるポイントやデメリットとなりそうなポイントを的確に教えてくれるでしょう。
このアドバイスは非常に貴重です。いくら買い手市場に傾倒してきているとはいえ、薬剤師は取り合いです。情報収集を兼ねてしっかりとヒアリングすることをおすすめします。
もしかすると初めのうちはなかなか良いかたを紹介してもらえないかもしれません。
その場合は紹介してもらった求職者の何が良くなかったのか、御社にとっての「良い」の基準をしっかりとすり合わせていく必要があります。
次第に担当者との認識を近づけることができれば紹介してもらう薬剤師の質も各段にあがっていくでしょう。
この過程を経ていくことで採用活動全体の効率化を図ることができます。
「直接募集」はどう?
直接応募のメリットは金額的負担がないことと、御社をピンポイントで目指して応募してくるかたなので志望度が高いことです。
しかしデメリットとしては、事前の準備と集客のハードルが高いことにあります。
まず、御社のホームページなどにきちんとした採用ページを用意する必要があるため事前の準備が必要です。
そしてそこに人を呼んでくる必要があります。「採用ページを作ったのに半年たっても一度も問い合わせがない」ということもよくあるため
ホームページから直接応募をしてもらい一定数の母集団を形成するのは、大手でない限り難しいでしょう。
「インターネットやSNSの求人情報サイト掲載」はどう?
「インターネット求人広告」への掲載も非常に有効な方法ではありますが、求職者が条件を比較しサイト上で選別するため、その段階で選択肢から漏れないようにするため
なるべく良い条件で出す必要があります。
他社と比較して条件がよくなければ満足いくほどの母集団形成はできません。ところが、逆に母集団が集まりすぎてしまうというリスクもあります。
この場合選考に手間がかかるため、採用担当の工数負担がかさみます。
一昔前までは「人材紹介会社は役職がついているようなエグゼクティブ人材の採用につかうもの」という認識がありました。
確かに、重要なポジションの場合はオープンに採用活動を行うことができないため、このような理由で人材紹介会社を利用する企業も多いようですが、
今では新卒薬剤師の採用であっても人材紹介会社を利用する企業も増えているほど、薬剤師の採用における人材紹介会社利用は一般化しています。
より採用活動を効率化するための手段として、人材紹介会社の利用は採用難易度の高い薬剤師採用にぴったりな手法といえますね。
- 採用難易度の高い薬剤師は、薬剤師専門の人材紹介会社を使って採用をするのが◎
■薬剤師採用のコストは?
次に薬剤師の採用にかかるコストについて解説をしていきます。
もし薬剤師の人材紹介会社にお願いした場合、採用が決まって初めて紹介手数料としてコストが発生します。
この金額はその薬剤師の年収額の約30%~35%程度が一般的です。
例えば年収500万の薬剤師の採用が決まった場合、150万円程度の手数料を支払うことになります。
- 年収500万の薬剤師を紹介会社を使って採用する場合、採用コストは150万円程度
「インターネット広告」「ハローワーク」のように無料で掲載できるものから、数週間で180万円というような高額のものまで幅広くあります。
しかしこれらの方法で行った場合どの程度の応募があるかは未知数です。
時期や、他社の状況にもよりますし、広告のキャッチコピーや写真の出来栄えなども影響してくるため難易度は非常に高いといえます。
費用発生のタイミング | コスト | |
紹介会社 | 採用手数料 | 150~180万 |
インターネット広告 | 求人掲載費 | 0~180万 |
求人情報誌 | 求人掲載費 | 2~40万 |
ハローワーク | 求人掲載費 | 0 |
適正な採用コストは、そのコストをどのくらいで回収したいかで考えるべきです。
薬剤師はその生産性の高さからコスト回収の早い職種です。採用担当者の人件費も含め、適性な採用コストを計算して効率のよい採用活動を行いましょう。
▷▷【早わかり!】エリア別採用難易度とおすすめの採用方法
採用難易度は地域によって差があります。
もともと、地方部では薬科大の少なさから薬剤師が少なく、薬剤師不足の傾向がありますが、地方部でも難易度に差があるようです。
今回は都道府県別の傾向を調査するため「薬局あたり薬剤師数」と、「薬剤師の平均年収」でプロットし、難易度をランク付けしてみました。
難易度★★ 「地方部 低年収買い手エリア」
まず、地方部で、年収が低めで薬局あたり薬剤師数の多いエリアです。
このエリアには薬学部のある大学が非常に少ないため薬剤師の絶対数は少ないものの、薬局数も少ないため比較的充足しているのが特徴です。
代表的な県は「徳島県」や「愛媛県」です。
転職先が限られているということもあり、こういった地域ではハローワークやオフラインでの募集が主流となっています。
平均年収が低めなので、年収をあげて交渉をすることも比較的容易でしょう。
難易度★★★ 「都市圏買い手エリア」
次に、薬剤師数の多い、都市圏エリアです。このエリアはとにかく薬局数も薬剤師数も多いのが特徴です。
そのため、年収は低く、採用難易度としては低くなっています。
代表的な県は「東京都」「神奈川県」「大阪府」「千葉県」「埼玉県」「兵庫県」です。
薬剤師は多いので募集を出せば比較的早く採用することはできますが、薬剤師にとっては選択肢も多いため条件のよりよいところへ目が向きがちになる傾向もあります。
そのため薬剤師のマッチングや定着に課題を抱えている企業も多いようです。
これらのエリアでは人材紹介会社に登録している薬剤師も多いため、ぜひ人材紹介会社を利用しての採用活動をおすすめしたいです。
難易度★★★★ 「地方部低年収売り手エリア」
次に、やや難易度の高い地方部の年収が低く、薬局あたり薬剤師数の少ないエリアです。
代表的な県は「長崎県」「新潟県」「群馬県」「福島県」です。
薬剤師数が極めて少ないエリアというわけではありませんが、需給バランスとしては、薬剤師不足傾向がみられます。
店舗数も決して少なくないため比較的転職市場の動きはあるものの、オフライン広告や知人紹介での採用活動が盛んで、
年収が上がりにくいため定着しづらいという課題があります。
このような場合は、マッチング精度を上げ、早期離脱を防止する目的で人材紹介会社経由で採用をすることをお勧めします。
難易度★★★★★ 「地方部高年収売り手エリア」
次に、難易度の高い地方部の年収が高く、薬局あたり薬剤師数の少ないエリアです。
代表的な県は「静岡県」「長野県」「高知県」です。
これらの地域は、トップクラスに年収が高く、需給バランスとしても薬剤師のほうが強い傾向があるため、採用難易度は上がります。
どんどん年収が吊り上がっていくリスクが高いため、この場合は人材紹介会社を経由して条件交渉を行うべきです。
年収以外でのアピールポイントを明確にし、薬剤師にしっかり比較してもらえるよう準備をしましょう。
- エリア特性によって採用の難易度や課題は異るため、特性に合わせた対策と採用方法を選ぶことが重要
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